2012年
2月11日、午前8時。
菊美人の蔵にて。
自分を褒めてあげたい!
ブログが800号も続きました。
よくぞネタが、続くものです。
今日は800号記念ということで、
格調高く(笑)、
私の曽祖母(ひいおばあちゃん)の弟、
「北原白秋」ネタ。
仲里依紗が歌っている歌が楽しい。
「でんでらりゅうば」という歌。
「でんでらりゅうば」
でんでらりゅうば (出ようとして出ていけるのならば)
でてくるばってん (出て行きますけれど)
でんでられんけん (出ようとしても出て行かれないので)
でーてこんけん (出て行かないからね)
こんこられんけん (行こうとしても行けないから)
こられられんけん (行くことはできないから)
こーん、こん。 (行かないよ、行かないよ)
これは、長崎のわらべ歌。
長崎出身の仲里依紗が、
とても上手に長崎弁で歌っています。
とても面白い歌ですね。
「ん」の韻の踏み方が
すばらしい。
実はこれと同じような歌が
北原白秋にもあります。
「ばんばん」とは乳母の柳河弁。
「ばんばん」
ばんばん。 よかたん、
ぼたんの花たん、
あんたのごんしゃん(お嬢さん)、
盛りの花たん、
帰ってよかたん、あんしんせんのん、
むぞかろばってん、帰って寝んのん、
お寺もあろだん、ばんばんよかたん、
あんたのごんしゃん、ぼたんの花たん。
(上訳:お乳母さん、いいさね、
牡丹の花だよ、お前のお嬢さんは、
もう花盛りだよ、
帰ってもいいよ、そのほうがいい、
安心おしよ、可愛いかろうが、
帰っておやすみ、お寺もあるだろ、
お乳母さん、いいさね、
おまえのお嬢さんは、牡丹の花だよ)
九州筑後の出身の方は、
上の歌を、どうぞ声に出して
読んでみてください。
柳河弁の微妙なニュアンスが
感じ取れると思います。
この二つの歌、とてもよく似ています。
長崎も柳河の方言も
「ん」の音が大概の場合、語尾に付く。
漢土(大陸)の影響と白秋は言います。
かつて、九州筑後と長崎は、
陸路ではなく、
有明海という海路で
直接つながっていました。
柳河のオキノハタの人たちは、
有明海に出て、島原や長崎と交易。
五島沖の海産物や、
長崎の舶来物を取引し、
たいそう栄えました。
北原白秋の実家
「古問屋(ふっどいや)」も
豪商でした。
菊美人も、
長崎に出先の問屋があったように、
城島、瀨髙の酒も、
江戸期には筑後川、矢部川を下り、
有明海を通って、
長崎が一大消費地。
白秋が歌う、
トンカジョン(兄)、
チンカジョン(弟)、
ゴンシャン(娘)などの
ハイカラ言葉は、
長崎発祥のオランダ言葉。
有明海での酒や米、
海産物の交易が、
柳河と長崎の
共通の言葉や文化を
結びつけているのが、
興味深い。