2021年9月9日 菊美人の酒蔵にて。
なやましき晩夏(おそなつ)の日に
夕日浴び立てる少女(をとめ)の
余念なき手にも揉まれて
やはらかににじみいでたる
色あかき爪(つま)くれないの花
「断章」白秋(明治41年)
白秋23才の時の歌。
この歌は世にはあまり知られていませんが、
私の好きな歌のひとつ。
爪(つま)くれないはホウセンカのこと。
小さい頃、女の子がホウセンカで
爪を赤くして遊んでいたのを思い出します。
ここでは、晩夏を「おそなつ」と詠んでいます。
白秋はこれと同じように
新春を「にいはる」と詠んだり
自在に言葉をあやつる天才でした。
さて、この晩夏(おそなつ)に、
恒例の「秋の純米ひやおろし」販売いたします。
春に搾った新酒が蔵の中で夏を越し、
ほどよく熟成し、
まろやかな味わいとなりました。
このお酒を外気が冷えて
蔵の温度と同じくらいになる秋に
大桶から小桶に卸し瓶に詰めたものを
「ひやおろし」といいます。
秋のこの時季にしか
飲むことのできない特別純米酒です。
是非ともご賞味ください。