私たちは享保二十年から約三百年の間、日本酒を造り続けてきました。長い歴史のなかで、日本酒とはただ酔うだけのもの、ただ美味しいだけのものではないという信念は確かなものになりました。
大切な人と美味しいお酒をたのしむひととき。杯を酌み交わすうちにゆっくりと心が解けていき、お互いの心が通じ合い、深い絆で結ばれていく。日本酒には人と人との間に、あたたかなつながりを生み出す力があるのではないでしょうか。
つながりが希薄になりがちな現代だからこそ、大切な人と過ごすよろこびに満ちたひとときを感じていただけることを願っています。
新春にいはると
今朝たてまつる
豊御酒とよみきの
とよとよとありて
またたのたのと
詩聖 北原白秋が蔵の座敷で菊美人を酌みながら書きました。
「元旦の朝、神棚に捧げた御神酒。豊かな味わいの酒を酌み交わす集いは、豊かなものであって、また頼もしく楽しいものであるよ」
大切な人と一緒に美味しいお酒を飲み、心を交わす。この歌は菊美人が大切にする想いそのものを表現しています。