2013年4月某日。
菊美人の蔵にて。
東進ハイスクール講師、
吉野敬介氏が著した
「一日で読める徒然草」については、
2013年4月7日のブログ
「徒然草は1日で読めたか」にて紹介。
1日で読むことは
叶いませんでしたが、10日で読了。
古典が身近に感じることができる良書でした。
この徒然草を読むうちに、
びっくりするようなことに出会いました。
第九二段「ある人、弓射ること」。
要点は以下。
『初心者は二本の矢を手にもち、的に向かってはならない。
二本目があるからと気が緩み一本目をいい加減にしてしまう。
この一本できめてやるという覚悟をもて』という内容。
有名な段ですから、思い出したという方もいらっしゃるはず。
問題は、この段の後半部分。
短い文章ですから原文を書き出します。
(不思議なことに原文を声に出して読むと
凄みがあります。)
道を学する人、
夕べには朝《あした》あらむことを思ひ、
朝には夕べあらむことを思ひて、
重ねて懇《ねんご》ろに修《しゅ》せむことを期《ご》す。
いはむや、一刹那《いちせつな》のうちにおいて、
懈怠《けだい》の心あることを知らむや。
なんぞただ今の一念《いちねん》において、
直ちにすることの甚《はなは》だ難《かた》き。
『現在のこの一瞬の時の中に、
なすべきことを後でなどと考えず、
思い立った瞬間すぐさま実行することが、
本当に何とむずかしいことであるか』
ということを兼好は言っています。
これって、今のタイムマネジメントや
自己啓発の本に書いてあることですよね。
今から600年以上も前に、
兼好は私たちを戒めています。
かえすがえす、
吉田兼好の慧眼に驚きいるばかりです。
600年も前に
「今でしょ!!」って、
言っているわけです。
凄すぎます。