11月29日、火曜日。
菊美人の蔵にて。
晩秋の菊美人の様子です。
今年は、
昼夜の寒暖差がなかったらしく、
紅葉が今の時期になっても
色付きません。
残念ながら紅葉せぬまま、
落葉となって、
今年は、
冬を迎えてしまいそうです。
秋の日の ヴィオロンの
ためいきの 身に沁みて
ひたぶるに うら悲し。
鐘の音に 胸ふたぎ
色かへて 涙ぐむ
過ぎし日の おもひでや。
げにわれは うらぶれて
ここかしこ さだめなく
とび散らふ 落葉かな。
ポール・ヴェルレーヌの詩、
訳は上田敏です。
上田敏は、
カールブッセの
「山のあなた」も訳しています。
「英語で自己表現できる
希有な学生」と、
ラフカディオハーンから
絶賛された文学者。
北原白秋は、
若き時代、
処女詩集「邪宗門」を
上田敏から、賞賛され、
「上田先生が褒めてくれた」と、
大いに喜び、
それを創作の励みにしたとの
エピソードがあります。
いずれにせよ、
師走を目の前にして、
この晩秋の落葉は
人の心を感得させる
のでしょうか。
せつない気分になります。