4月16日、土曜日。
いつも大変お世話に
なっている
西中洲の小料理「桜」の
おかみさんから
お便りが届きました。
折にふれて、
季節のことをしたためて、
このようにお手紙を頂きます。
無常といふこと
桜の風が北へ向かい
日本列島を駈けぬけていきます。
城のさくらも、里のさくらも、
街のさくらもそれぞれに、
出会う花ごとに、
心をうるおしてくれましたが、
無常ならばこその美しさを尽くし、
やがて花は吹雪と
なりゆくものと思われ、
心に残る思いはつきません。
美しいゆく春のかたちです。
お葉書を読んで、
近くの八坂神社まで
散る桜を
見にいきました。
ソメイヨシノは、
すっかり葉桜と
なっていました。
春の風にふかれて
さくらの花びらが
土埃とともに
舞い上がっています。
花の色は
うつりにけりな
いたづらに
我が身世にふる
ながめせしまに
百人一首、
小野小町の歌を
思い出しました。
この世の中が
つくづく無常だと
いうことを
思い知らされた
今年の春。
無常だからこそ、
今を大切に
生きていきたい。